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忘れられた人々のspacegomiのレビュー・感想・評価

忘れられた人々(1950年製作の映画)
3.8
ブニュエル③

母親から愛情を与えられず、不良とつるむ少年ペドロ。それでも彼が潜在的に母親の愛情を求めていることは彼の見る夢から明らかだ。
自分に信頼を与えてくれた感化院の院長という善意の大人の存在に束の間の希望を抱くが、それもすぐに打ち砕かれてしまう。内に秘めている善が悉く潰されていく様は観ていて本当に辛い。

そんなペドロの人生を狂わせたハイボも、母親の存在を知らず、愛情を受けずに育ってきた。彼もまた最期に顔も知らない母親の幻影を見る。

「忘れられていく」ことを十分に想像させるラストショットはかなり強烈。
格差や貧困にあえぐ社会が不幸な子供たちを生み出し、一人、また一人社会から消えていくのだろうか。

ところでペドロのみる悪夢が神の視点で描かれていたのは何故だろう。
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