メキシコシティのスラム街を生きる不良少年たちを描いた、ルイス・ブニュエル監督のメキシコ時代の代表作。
"¡Ojalá los mataran a todos antes de nacer!"
ルイス・ブニュエル監督作品、『昼顔』に続いて2作目の鑑賞。
徹底したリアリズムで描く、パワフルでセンセーショナルな社会派ドラマ。一切の救いがなく、気が滅入ってくるが、疑いようもない傑作だった。貧困と暴力と犯罪に塗れた戦後メキシコシティ・スラム街の映像は、映画の枠を超え、人類の歴史的遺産の域に達していると思う。社会から忘れられてしまったスラム街の人々も悲劇だし、信頼と愛情を得られないまま、大人から見捨てられてしまった子どもたちも不憫でならない。
"Por qué no me quieres?"
ペドロが辿ったドラマには心を引き裂かれそうになる。父親不詳だという理由で母親から愛されず、家庭には居場所がないので、不良仲間とつるむしかない。良心はあったが、年上の不良青年たちに巻き込まれて身を滅ぼしていく。卵をカメラに投げつけるショットは、行き場のない憤りをぷつけた素晴らしいショットだった。
スローモーションの悪夢描写が興味深かった。
人間はここまで非道になれるのかとショックを受けた、目を覆いたくなるほどの悍ましいシーン。盲目の大道芸人を襲撃。脚のないおじさんを集団で殴って強盗。鶏を殴殺。
「子供より貧乏を閉じ込められたらな」
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