アトミ

忘れられた人々のアトミのネタバレレビュー・内容・結末

忘れられた人々(1950年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

40点

メキシコシティの貧困層の子供たち。
勿論学校に通えず、家の手伝いやバイトをするのが普通。だがその中には盗み等する悪ガキたちもいた。
そんなグループのリーダー格のハイボが感化院(児童自立支援施設)から脱走し戻った。
彼らは盲目大道芸人ジジイや足のない障害者等からも容赦なく金を盗んだりするようなヤツらだった。

ハイボはチクったフリアンに仕返しするため、ペドロと一緒にバイト先へ行き、連れ出し、痛め付け(後頭部を石や棒で殴る)、金を盗んで逃げる。

翌日、フリアンが殺されたと町では大騒ぎ。
ペドロは直接暴行はしてなかったが「分け前を受け取ったから同罪だ」とハイボに言われた為、罪悪感にかられる。

ペドロの母親は女一人で沢山の子供たちを育てている。
それに加え、悪ガキで、プー太郎で、父親もよく分からないペドロに対して「毛嫌い」していた。
ペドロは愛情を欲していたが、愛してもらっていなかった。

ペドロは真面目に働こうと鍛冶屋でバイトしたが、こっそりと殺人の口止めにやって来たハイボがナイフを盗み、それがペドロの犯行として警察に捕まり、感化院に送られる。

母親はせいぜいしていた。感化院で勉強も教わる事も出来て最高の環境。
とりあえず最後に面会しとけと判事?に言われ渋々母親はペドロの顔を見に行く。
泣きながら無罪を訴えるペドロに情が湧いたのか少し歩み寄りを見せる母親。
だがもうどうしようもない(後に引けない)状態でしかない。

感化院でペドロは「動物に優しい(以前母親が鳥を潰した事にショックを受けるほど)」という人間性から家畜の世話係の仕事をする事になるが、ヤケを起こし鶏の卵を割り出しす。
それを少年らに注意され、ケンカになり、孤立。
ブチ切れて鶏を叩き殺してしまう。

動物を殺す事にショックを受けるような少年が、「あるキッカケ」で動物を「殺す人間」へと変貌してしまう。
この映画のメッセージはココにあるようだが、、、

とりあえずペドロの人間性を見抜いていた校長先生は大金(五千円くらいか?)を持たせタバコを買うおつかいに出す(人間性を試す)。
ペドロは笑顔で感化院の門を出るが、直ぐにハイボに捕まってしまい(様子を見に来ていた)、大金を取られてしまう。

ペドロは追いかけ、いつもの悪ガキ溜まり場(町の中心道端)でハイボに金を返せ(校長に返金する為)!と詰め寄るが、しらばっくれて返すはずはない。
逆にボコボコにされてしまう。その時ハイボは「盗んだナイフ」を落とす。
ナイフを拾い上げ、ペドロは皆にフリアン殺しの犯人をバラす。
野次馬の大人達がハイボを捕まえようとするも逃げられてしまう。

ハイボに恨みを持つ盲目大道芸人ジジイは「ハイボの隠れ家」を警察に教える。
ハイボはいつも泊まってる悪ガキ仲間のカカリツオん家の納屋に身を隠し、ペドロはハイボを納屋に探しにやって来たが返り討ちにあい殺されてしまう。

その後、ハイボは隠れ家へ戻るも、警官に撃たれ死亡。
その現場を「見ていた」盲目大道芸人ジジイ
「生まれてくる前に殺されていればよかったんだ」

ハイボが逃げた後、カカリツオの父親とカカリツオの妹メチェ(ペドロの知り合い)がペドロの死体を納屋で発見するが、面倒に巻き込まれると困ると父親はメチェと馬車に死体を乗せ、ゴミ捨て場へぺドロを捨てに行く。

ぺドロの死体は谷へゴロゴロと転がり、ゴミにまみれる。

その頃、ぺドロが町に帰って来てることを聞きつけた母親はぺドロを探し回っていた。



というお話。
まず、ポイントとして、ハイボもぺドロも
①親(母)の愛情を受けていない
②貧困
という共通点がある。

ハイボはぺドロの母親と関係を持ち(欲情)し、死ぬ間際に「母親の声」を聞く。
ハイボも相当に「母親の愛情を欲していた」のが分かるシーンだと思う。
やっぱ①は特別なんじゃないかな。

②は「ついで」な感じがするね。となると映画冒頭の言葉はちょっとペラい感じはするが。

後、盲目大道芸人ジジイは良い人なイメージがあったが終盤に行くにつれ、クズなのが分かる。
少女メチェにガンガンセクハラとかしてる。
てか、メチェがエロティックな対象として描写されてるのは監督のメッセージ?癖?どっち?

そんなことよりも、「メッセージの為にわざわざ鶏を叩き殺すシーン」は必要ないだろ?
ショックを与えたいのは分かるが、それなら人間もそのように殺せば良い。
できないからしないだけだろうね。その程度くらいで「命」を語る資格はないし、「正しさ」をメッセージする資格もない。ね。

矛盾するメッセージはメッセージとは言わない。


PS
悪夢シーンなど良いシーンもあり非常に残念
アトミ

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