ゆうひ

サウンド・オブ・ミュージックのゆうひのレビュー・感想・評価

5.0
紛れもない名作!
最近なら歌の一番だけで終わりそうなところを
三番まで歌ったりして長いし
幕間まであるけど
みんな上手くて
誰もが知ってる曲も多くてまるで退屈しない。

中でも私は、トラップ大佐と修道院長の歌声が好き。
トラップ大佐ははにかむような笑顔も込みで
誰もがみとれるような昔のイケメン……
去年まで存命で、しかも仕事もしてたなんて、
映画界の宝だな。
修道院長の深くまろやかな歌声は別格。
それそのものが祝福……
あんな風に歳を取れたら美しいな……

物語は、全体を通して幸せなシーンが多く、
悲しいシーンであっても皆性格が魅力的だから
嫌な気持ちにならない。
恋愛描写や恋のきっかけは健全なので見やすい。
婚約者の女性の行動も酷すぎず、
恋をする女性として理解できるどころか、
むしろあの対応はめちゃくちゃかっこよかった。

のに、最後の展開だけは
現実問題フィクションよりずっと深刻なので、
苛烈な描写がなくてもその落差だけでインパクトが大きい。
伏線としてずっと背景にあったことであり、
私たちは史実を知っているので、
明るい希望の物語の中にそのことがずっと影を落としている。
おてんば修道女のラブコメサクセスストーリーみたいにならず深い人間讃歌が込められていたのは、
人物描写やセリフ回しもさることながら、
重大な時代背景によるものだと思う。

長女の恋のゆくえは記憶に残るものだった。
私は本作を高校の授業で初めて見たが、
けっこうクラスがざわついていた思い出。
でもこれだって、個人的な恋の話ではない。

そういったストーリー展開の明暗に乗せて、
前半で歌った歌を後半でも歌う演出が涙を誘う……!
エーデルワイスでもうダメだったのに、
あそこで「さようなら、ごきげんよう」を
歌い出して涙腺崩壊必至……。
「ライフ・イズ・ビューティフル」でも
こんな気持ちになったけど、
平和な時のことをこうやって持ち出す技はずるい……。

修道女たちのキャラもよかったw
たくましいw

また何度でも見たいし、できれば子どもも見てくれたらなぁ
と思うような名作でした。

※SSやSAの描写やオーストリアの立ち位置に違和感があったので後から調べてみたら、wikiに史実と異なる点やそれに対する地元の評価が書いてあった。
映画は映画で楽しめばいいと思うが、誤解のないよう確認しておかねばならない。
(中でもラストのルート選定の地理的違和感についての記述は興味深かったw)
ゆうひ

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