イチロヲ

ミラクル・マイルのイチロヲのレビュー・感想・評価

ミラクル・マイル(1988年製作の映画)
4.5
1時間後に核戦争が始まることを知らされた青年が、最愛の恋人を守護するべく独善的な行動を引き起こしてしまう。終末論を題材に扱っている、パニック・スリラー映画。プログレバンド「タンジェリン・ドリーム」が音楽を担当している。

彼女ができたばかりの朴訥な青年が、たまたま受け取った間違い電話から、ドエライ機密を知らされ、挙句の果てに癖のある人間ばかりに絡まれてしまう。深夜帯のロサンゼルスを舞台に、物語がリアルタイム進行していくところが醍醐味。

主人公は己の正義を貫くために行動を起こすのだが、客観的に見ると、彼の行動が人々のカオス状態に拍車をかけているように見える。「ボクの恋人を守りたーい!」という切なる気持ちが、めぐりめぐって、負の連鎖を形成させてしまう不条理性と喜劇性。

パニック描写のステレオタイプ化が顕著であり、随所に過剰演出が見受けられるが、核戦争開始の真偽をボカしたままでドラマを進めていくスタイルが痛快極まりない。ホラーとコメディの表裏性を含ませるあたりも、さすがと言いたい。
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