ハマジン

ミラクル・マイルのハマジンのレビュー・感想・評価

ミラクル・マイル(1988年製作の映画)
4.0
めちゃくちゃによかった……。甘酸っぱいラブロマンスが終末の厄災色に塗りつぶされていく(夜明けのオレンジ色の禍々しさ!)、アメリカのパラノイアを煮詰めたような悪夢じみたイメージの数々を堪能した(ピンチョン『重力の虹』がさりげなく登場)。ジョー・ダンテの『マチネー』と二本立て上映希望。
水辺で出会った男女が、水に沈みながらその最期を迎えるまでの話でもあり、ゴボゴボと大きな泡を噴き出す汚らしい池のほとりで初めて会話した2人が、紆余曲折を経て最終的に同じ場所に回帰してしまう不気味さがいい。「水中から進化をとげた生命がまた水中に没する(と同時に人類滅亡級のカタストロフ=核戦争が起こる)まで」を描いた映画として見ることもでき、ゆえに冒頭の博物館横移動ショットが活きてくるつくり。
倦んだようなビートを刻みつづけるタンジェリン・ドリームのシンセも最高。
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