ショコラ

赤い靴のショコラのレビュー・感想・評価

赤い靴(1948年製作の映画)
4.0
アンデルセンの同名童話をモチーフにした、バレリーナの悲劇。

厳格な独裁者・レルモントフ率いる、名門バレエ団に入団したヴィッキー。

同じく彼に、作曲の才能を買われたジュリアン。

新作「赤い靴」のプリマに抜擢されたヴィッキーと作曲を担当したジュリアンは、舞台を大成功へと導く。

そして、いつしかふたりは恋に落ちていた。

団員同士の恋愛を厳しく禁じるレルモントフは、目を掛けていたヴィッキーの裏切りと嫉妬で激怒する。

バレリーナとしての成功か、恋愛かの二者択一を迫られた彼女は、ジュリアンと共にバレエ団を去って行くのだが…。

臨場感溢れる舞台の素晴らしさ。

バレエダンサーであるモイラ・シアラーの、優美で迫力ある舞踏。

マーティン・スコセッシ監督によって復元された映像美が、古さを感じさせない。

恩人と恋人の間で揺れ動くヴィッキーが精神的に追い詰められ、衝動的にとった行動。

赤い靴=赤いバレエシューズに囚われたヒロイン。

童話そのままの、心が解放される彼女を表した場面が哀しい。

ラストシーンも秀逸。

レルモントフ役アントン・ウォルブルックの、冷徹で、威厳に満ちた演技が素晴らしい。

また、皮肉屋のダンサー兼振り付け師グリシャを演じたレオニード・マシーンも、個性的で忘れ難い。

ラストに見せる、レルモントフの感情を押し殺した様な表情が印象に残る。



 
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