前作『A』から二年半後、再びオウム真理教の内側からカメラを回したドキュメンタリー。
地上波のテレビから映し出されていた、警察、マスコミ、右翼、住民の反対運動…前作同様、これがどれがけ偏っているかが分かる。どちらが正しいかではなく、どちらもあるんだという事実を知るだけでも観る価値はあるなぁ。
長いこと住民とバチバチだったと思っていたら、楽しそうに雑談してる訳ですよ。対立のニュースの話題を笑いながら話してる…もちろんバチバチだった人もいたんだろうけど、不思議な映像に見えたし、不思議な空気感だった。
前作と違って、ドギツイと感じてしまう修行の風景が多く映し出されていたのが印象的で、身体だけならまだしも、物を使われちゃうと、いくらフラットに見ようと身構えていても、個人的には途端に偏見というか、めちゃくちゃ引いちゃう自分がいて、ああ、私の中の嫌悪感のラインはこういう所なんだなと自覚した。そういう風に思うのは良くないなぁと思いつつ、PSIとか言うヘッドギアは本当にキツかった。
ラスト5分の森監督の問いかけが、空気がガラッと変え、視聴者すらもハッとさせる核心を突いていた。
ただ片側からしか見ず、考えず、「許せない」という気持ちだけでは、何も見えて来ないんだなぁ。
誰かが作った私たちの目にするものに100正解なんてものはないんだろうけど、だからこそ疑う事も信じる事も自分の選択であって、流されてはいけないな、考えていかないとなと思った。
2021-330
