kou

A2のkouのレビュー・感想・評価

A2(2001年製作の映画)
4.5
前作よりより多方面からオウム真理教の地下鉄サリン事件以降を描いた作品で、地下活動化していくオウム真理教と、地元住民との衝突、更には右翼団体との衝突が描かれる。立場の違う人たちが、対話する事なく、相手を知ろうともする事なく排他的に行動する様は、確かに前作よりも加速しているように見える。

各県で勃発する衝突の中で、住民達はオウム真理教という存在の持つ恐怖を、団結して追い出そうとする。しかし信者達はまったくブレる事なく、宗教を信じ続けるのだ。まるで信者の方がブレてないかのように、彼等の方が健気で芯のあるように見えるのは、宗教の強さでもあり恐ろしさでもあると思う。

その中である信者の住む場所では、監視する住民が仲良くなり、普通に話をする。いざその場から離れるとなると別れを惜しむ姿も。これを見て思ったのは、想像の中の恐怖が1番恐ろしく、実際に向き合えば1人の人間であるという事だと思う。ただその人間達がサリン事件を起こしたというのも、また事実なのだ。

終わらない偏見の中で、信者も住民達も自分こそが正しいと思い込む。隔絶する中で歩み寄ることなる終わる今作の現実に前作以上に暗澹たる気持ちにさせる。
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