Tラモーン

赤い季節のTラモーンのレビュー・感想・評価

赤い季節(2012年製作の映画)
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12/5にチバユウスケの訃報を知ってから何もできなくなった。
当然映画を観る気分になれなくて、通勤中の車内ではThe Birthdayを聴き、家ではThee Michelle Gun ElephantのDVDを観て、何度も泣いた。
まだまだ悲しいけど、少し落ち着いてきたような気がするので追悼の意味でこの作品を観ることにした。


殺し屋稼業から足を洗いバイク屋で働く健(新井浩文)。母親代わりの陽子(風吹ジュン)と平和な生活を送ろうとしていたが、殺し屋時代の先輩アキラ(村上淳)がバイク屋に現れ、健を引き戻そうと付き纏い始める。過去との決別のため健は決意を固める。


映画としては酷い出来の作品だった。
ストーリーに触れてレビューをする気にもなれない。

でもチバユウスケの詩世界を映画化してくれたということについては、今となっては感謝するべきかもしれない。

新井浩文がバイクを駆るシーンはよかったな。

チバユウスケ、イマイアキノブ、中村達也の3人がThe Golden Wet Fingersとして演奏するシーンは短いながら流石にカッコいい。相変わらず中村達也はニコニコしながら人を殺しそうな演奏をする。本当言うとイマイのギターは嫌いなんだけど、このジョンスペ編成のトリオはよかったな。

そういえばバイクを整備してるときのラジカセから流れる曲がやたらカッコいいと思ったらウィルコ・ジョンソン・バンドだった。

朝焼けのシーンはまさにチバの思い描いた映像だったのかなと思えるような美しさだった。

"風が強くて前は見えないけど道はわかるから"

なんで健が仕事するときはリーゼントなのかなって思ったらそういうことか。ベタだけど、いいなって思った。アキラもリーゼントにしてやるとこよかったな。

"なんとかなるようになるぜテディボーイ"


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ミュージシャンの訃報に悲しむことが年々増えてきたけど今年は特につらい。
2月に恒岡章を見送り、まさか年の瀬にチバユウスケを失うなんて。

ミッシェルは後追いでちょうどアベフトシが亡くなるころに聴き始めて、どっぷりハマって、コピーバンドもやっていた。
日本で1番カッコいいロックンロールバンドは未だにミッシェルだと思ってる。強靭なゴリガンビートの演奏に、チバの独特の詩世界。

ミッシェルの頃のチバは多分自分の歌自体も楽器のように考えていて、きっと曲の中でも響きを大切にしていたと思うから、一見すると意味のないナンセンスな歌詞に見える。でも所々に彼のロマンチシズムや優しさが滲んだ詩が大好きだった。

正直言うとミッシェルが好き過ぎて長いことThe Birthdayはあまり聴く気になれなかった。でも2011年ごろかな、ギターがイマイからフジイに変わって少し雰囲気が変わったような気がして聴けるようになった。その頃から何度かライブに足を運んで憧れのチバを何度か生で観た。

2015年のちょうどぼくの誕生日にThe Birthdayのライブを観に行った。
『Baby You Can』という曲の"Happy Birthday To Youどっかの誰かさんに"ってフレーズをその日に生で聴けて泣いたのは一生自慢しようと思う。というかこれから誕生日が来るたびに思い出すんだろうな。ぼくの誕生日は11/27でチバの命日は11/26だから。

自分が大人になってようやくThe Birthdayでより顕著に現れるようになったチバの優しさを受け入れられるようになった。でももっと早くそうなりたかった。

最後にチバの歌を聴いたのは2018年のエアジャム。登場したときと『涙がこぼれそう』のシンガロング後のコールでめちゃくちゃ感動したんだよ。ハイスタとチバ、愛する2つが交わった瞬間だった。
https://youtu.be/zwapa3MkPk0?si=WxllFyVOFe6qGXCW

カッコよくて可愛くて、コワモテなのにお茶目で、あんなにドスの効いたしゃがれ声なのに優しくて。チバの声に何度も生きる勇気をもらった。ぼくの人生はチバの音楽との出会い以前と以後とで大きく変わった。

まだまだ受け入れられないし、悲しいけどチバの声と曲は残るから。
"Everybody Needs Somebody"って歌ってるけど、あんたに抱きしめてほしい人や、あんたと肩を組みたい人はまだまだいっぱいいるんだぜ。早すぎるよ。でもありがとう。
https://youtu.be/txw0qtRsUV0?si=EBJBJLi59hL6InBT


ほとんどぼくの思いを吐き出すだけのレビューになってしまいました。長くなってしまってすみません。最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。
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