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国際諜報局のHKのレビュー・感想・評価

国際諜報局(1964年製作の映画)
3.5
なぜか今頃、新作TVドラマ・シリーズになったと聞き、タイミングが合わずスルーし続けていた本作をようやく鑑賞。
実はその昔、映画も観てないのに“限定復刻盤”の文字につられて本作のサントラLP(ジョン・バリー)を衝動買いした過去も有り・・・

本作はショーン・コネリーの007シリーズ全盛期に、ほぼ同じスタッフが制作した別のスパイ映画(『ゴールドフィンガー』と『サンダーボル作戦』の間に公開)。
派手なジェームズ・ボンドとは違い、黒縁メガネのマイケル・ケイン扮するハリー・パーマーの地味でリアルなサラリーマン・スパイの活動が描かれます。
3本シリーズ化され、後にTV映画も2作品制作されたケインの当たり役でもあります。

出演作は多いものの本作が初主役といえるケイン(当時32歳)の黒縁メガネのスパイ・ルックは『オースティン・パワーズ』のマイク・マイヤーズや『キングスマン』のコリン・ファースのキャラの元ネタになったことでも有名。

アパートで毎朝目覚ましのアラームで起床。
独り朝食を作ってコーヒー飲んで出勤。
買い物はスーパー、でもブランドには煩い。
黒縁メガネに地味なコートは一見刑事か公務員風。
仕事は給料のためと割り切り、いつもやる気無さそうで偏屈で皮肉屋。
確かにボンドとは対極のイメージですが、唯一の共通点は女好き(コネリーとケインの共通点でもある? )。

当時の007の2人のプロデューサーのうち、荒唐無稽な娯楽指向のアルバート・ブロッコリではなく、リアリティ重視で後にシリーズの異色作『女王陛下の007』を指揮したハリー・サルツマンが本作を製作。
主要スタッフは編集ピーター・ハント(『女王陛下~』では監督)、美術ケン・アダム、音楽ジョン・バリーと本当にまんま007チーム。

原題の“The Ipcress File”とは本作の謎のカギとなる書類のこと。
監督は『シェラマドレの決斗』や『エンティティ―~霊体』のシドニー・J・フューリー。
パーマーの相棒局員は『大脱走』でアッテンボローとコンビだったマクドナルド大尉を演じたゴードン・ジャクソンでした。
007シリーズと違い、派手なアクションシーンなんてほぼ無しですが、妙な味わいがあります。
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