イチロヲ

悪魔の凶暴パニックのイチロヲのレビュー・感想・評価

悪魔の凶暴パニック(1976年製作の映画)
4.0
猟奇殺人の濡れ衣を着せられた青年が、犯人の特徴とされる脱毛症を手掛かりに、事件の真相へと迫っていく。ハゲ頭の人間がサイコキラーに変身する恐怖を描いている、サスペンス・ホラー。

ストレスや加齢により引き起こされる脱毛現象を、猟奇殺人者の特徴として落とし込んでいる作品。ナンセンスコメディと紙一重の内容だが、「抜け落ちた毛の量に恐怖する」という、誰しもが経験するであろう、ふとしたホラーをうまい具合に利用している。

ドラマが進行すると、丁度10年前に同じLSDを摂取した人間たちに、同様の脱毛が発症していることが判明。そして大統領選の立候補者が、その裏でナンタラカンタラ。過去の摂取者が、突然の抜け毛に気づかされるシーンに戦慄を覚える。

巻き込まれ型サスペンスを主軸にして、オカルト、カーチェイス、ディスコなど、撮影当時の風俗や社会風刺が取って付けたように織り込まれる。シチュエーション移動が早く、「取って付けたものフェチ」からすれば、まさにヨダレものの逸品といえる。
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