コーカサス

レイチェルの結婚のコーカサスのレビュー・感想・評価

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)
3.2
10年間、薬物治療施設の入退院を繰り返すキム(ハサウェイ)は、姉レイチェル(デウィット)の結婚式に出席するため実家へ戻るが、家族の態度はどこかぎこちなく、キムはトラブルを起こしてしまう。

『クレイジー・ママ』や『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督が、家族の再生を描いたヒューマンドラマだ。
やたら多いカット割りやホームビデオ風の撮影法は、良く云えばドキュメントタッチでリアルだが、多用し過ぎると酔ってしまうので、そこがマイナス点か。
但し、ストーリイ的には『イン・ハー・シューズ』や古くは『エデンの東』のような姉妹(兄弟) のよくある図式のすれ違いや葛藤を上手く描き、とりわけハサウェイが単なるアイドルではない、演技派女優としての一歩を踏み出した貴重な作品と云えるだろう。

そう、例えるなら…たまの休みにとらや一家が水元公園へあやめ見物に出掛けようとしたちょうどその時、旅先から寅さんがパタパタパタ~と帰って来たことで一家は慌てふためき気を使い、あやめ見物を中止したことで、それがかえって寅さんの気分を損ね、トラブル発生…そんなカンジと捉えて頂きたい(笑)。

キムは薬物と辛い過去を背負いながら、実は強く愛されたいと願う弱い人間だ。
血の繋がりとは、時に面倒で厄介なものだが、どんな子どもや親であれ、家族だけはキムの、そしてあなたの味方であるということを教えてくれる。

8 2023