青山

上海特急の青山のレビュー・感想・評価

上海特急(1932年製作の映画)
3.6

北京から上海に向かう特急列車に乗り合わせた7人。道中、列車は反政府軍にジャックされ、彼らは人質にされる......。


列車の中というワンシチュエーションで主人公2人の恋愛を軸に様々な人間模様が描かれる群像劇です。

中国の猥雑な感じの街の様子と、そこを走る特急列車とのギャップがビジュアル的にインパクト大。その中でディートリヒさんとアンナ・メイ・ウォンさんの東西美女がともに娼婦の役で出ていて妖艶×2。
特にディートリヒさん演じる上海リリーは視線だけで大根を切れそうなくらいの美貌に加えて賢く芯がありつつ悟りや諦念のようなものも滲ませキャラクターとしても非常に魅力的。彼女の魅力に対して相手役のハーヴェイ大佐はうだうだと煮え切らない感じなのである意味共感はしてしまう。そんな2人が繰り広げる大人な恋模様が、いかにも昔のロマンスって感じで素敵でした。
一方、もう1人の美女である中国娘は名前も出てきたっけ?くらいで扱いの差がひどい。しかし彼女もまた賢く度胸もあってカッコよかったです。彼女と上海リリーの干渉しないけど認め合ってそうな関係性がとても良かったですね。
あと、上海リリーを目の敵にする神父さんが出てくるんだけど、彼の終盤の言動もめちゃ良かった。それに比べてハーヴェイ、お前はダメだ......。

......って感じで見た目にもエキゾチックで艶やかで美しい映画で、群像劇としても結構楽しめました。
青山

青山