バナバナ

孤高のメスのバナバナのレビュー・感想・評価

孤高のメス(2010年製作の映画)
3.8
せっかく先生から「出来ることなら、また君と一緒に仕事がしたい」と言われたのに、
看護師さんは「先生は人使いが荒いから嫌です」と答えてしまう。
少し悲しそうな顔になった先生。
この先生、言葉の裏を読むことを知らないから、きっと本当にこの看護師さんからそう思われている、と思ったに違いない。

しかし看護師さんは、最後に思い切って「先生! 私も都はるみが好きになりました」と言ってみた。本当は、
「私、先生を好きになってしまいました」と言いたかったんだけど。

先生は鈍い。きっとあの時も言葉通りに「おお、看護師さんも都はるみが好きになってくれたか」くらいにしか、思わなかったことだろう。

でも、先生が「あなたと仕事が出来てよかった。あなたは立派な看護師です」と応えてくれた時、
それは愛の告白への返答ではなかったけれど、看護師さんの、一生密かに心の勲章となる言葉となったのでした。

思えば、仕事が嫌で嫌で…、でも一人で子供を育てなきゃいけないし、こんな田舎じゃ他に仕事もないので辞める訳にもいかないし、
いつの間にか、その辛さで笑顔も忘れ、家庭も暗くなり…だったのを、先生のお蔭で、仕事に自信を持ち、自分に自信を持ち、人生に張り合いを持つことができた。
決して叶うことのない、独りよがりの恋だったけれど…。

そんなシングルマザーの看護師さんの、密かな大人の恋心にホロっときてしまいましたが、作品的には、優等生的というか無難な出来で、全体的にこじんまりと纏まり過ぎている感じだったので、低目の点数にしました。
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