うにたべたい

妖星ゴラスのうにたべたいのレビュー・感想・評価

妖星ゴラス(1962年製作の映画)
4.1
監督・本多猪四郎、特技監督・円谷英二、脚本は木村武、返信人間シリーズの田中友幸製作の特撮映画。
円谷英二の東宝特撮集大成として、製作延日数300日、製作費3億8000万円を費やして作られました。
その喧伝の通り、宇宙規模の大災害に対抗する地球人たちの、それこそ地球規模の戦いを描いた規模の大きいシナリオとなっており、登場シーンのほとんどは南極か宇宙で、巨大なジェット装置、大洪水、そして巨大怪獣まで登場する、超大作となっています。

土星探査の任務を負って日本の宇宙船・隼号が打ち上げられた。
その後、天文台より、地球より6000倍の大きさがあるとい"ゴラス"と名付けられた天体が発見されたという発表があり、近くを飛ぶ宇宙船に調査協力を要請する。
たまたま近くを運行していた隼号は、ゴラスの元へ向かうが、ゴラスを観測した結果、ゴラスの質量は巨大だが大きさは地球の4分の3程だということが分かる。
隼号はゴラスの引力に導かれ、脱出不可能になり最後の報告を終えるとそのまま衝突してしまう。
地球への衝突コースを取るゴラスから逃れるすべはあるのか。

小規模の隕石の衝突では無く、地球の4分の3もの大きさの超高密度の星が地球と衝突するとしてどうするかという豪快な設定です。
隼号の弔いの意味を込め、調査を希望する後輩パイロットたち、予算と保身からその許可を出し渋る政府関係者、地球を守るために手を組む世界中の科学者など、約90分ほどの作品ですがドラマが込められていて、最後まで目の離せない内容でした。
無機質に接近するゴラスはいわゆる怪獣では無いですが、地球に仇なす敵として存在感は十分でした。
この荒唐無稽な存在から逃れるには、破壊するか、地球の軌道を変えて逃げるかしかなく、破壊できないと判明するや否や地球に水爆を原動力とするジェット推進器を取り付けて地球を動かすという作戦に出ます。
この部分のSF考察には、東京大学理学部強力の元、の科学的な裏付けを取っており、SF心くすぐる名作だと思います。

古い作品ですが、退屈することなく楽しむことができました。
なお、作品の終盤に"マグマ"というセイウチに似た姿の巨大怪獣が現れます。
マグマの存在は以前から怪獣図鑑などで知っていましたが、登場から倒されるまでがあっという間で、死体も映っているのですが、あっけなすぎて倒されたことが信じられませんでした。
残り時間そんな無いけど、また出てくるのだろうかと思っていたら終了してしまい、折角登場したのだからもうちょっと見せ場が欲しいと思いました。

ラストの拍手喝采から、科学者たちの「これからが大変だ」のセリフが印象的です。
地球の軌道を変えちゃったんだからそりゃそうですよね。どうなってしまうのか。
ただ、そんなこれからを空想させる終わり方もすごく良いと感じました。
SF特撮の名作です。