《ご長寿の映画》、Part.Ⅲ、Vol.14。
『キングコング対ゴジラ』。高島忠夫、久しぶりに観た。めちゃくちゃ若々しい。
1962年の映画。
東宝創立30周年の記念映画なのか。
ゴジラ映画としては3作目だが、TSUTAYAではシリーズのナンバリングがされてなかった。
これは、正当な続編というよりも周年映画として、日米対決のエキシビジョンマッチというところか。
先日から何作かシリーズの先を歩んでしまったが、改めてこれは見逃すまいと立ち返る。
それにしても、監督は本多猪四郎だし、特撮は円谷英二。正真正銘の生粋の日本の特撮アクションの雄たちが作り上げた映画。
最近も『ゴジラvsコング』があったばかりだが、これが元ネタと言っても良い。
ここに出てくるいわゆる“原住民たち”。明らかに日本人で、黒塗りしてる。映画がカラーになったことによる制作、演出の努力の賜物が垣間見える。
そして、この先のシリーズにも出てきた若林映子、ここにも出てる。綺麗。この人のエキゾチックな雰囲気がめちゃくちゃ画面に映える。
定番の平田昭彦もいるし、製作陣しかり、やっぱり特撮観てるって感じでテンション上がる。
この“コング”登場シーン、スゴい。度肝を抜かれる。『髑髏島の巨神』さながら。もちろんこっちは特撮で、あっちはハリウッドの最新鋭のCG技術だが、この迫力。
まさかそんな生々しいヤツが出てくるとは思ってなかったし、満を辞してコング出てきてその圧倒的な存在感を示し、周年映画としてそのエキストラの数含めてマンパワーで押しに押してくる。
1960年代の特撮、恐るべし。
ちょこちょこ出てくる特撮的なジオラマ。掘削現場とかの動くジオラマ。めちゃくちゃ精巧。もはや今とそう変わらんとさえ思えるこだわりにワクワク止まらない。
寝ているキングコングを日本に持ち帰ろうとする蛮行、そのスクープ魂、それはそれであっぱれ。
そして、そんなことをドタバタやってると目覚める主役、“ゴジラ”。コイツもなんやかんやと日本凱旋。本当に帰巣本能なのかは怪しいが、コングが日本近辺にやってきた時に帰ってくるという間が良いのか悪いのか。
すでに当時から完成されてるこのゴジラのテーマトラック。この破壊神の王者たる迫力と貫禄が最高潮。
なぜなのかはわからないが、お互いが引かれあって巨神と破壊神が相見えるエキシビジョンマッチが開幕。
山を燃やして誘導するとか、あの掘削作業はまさかの“その仕掛け”のためだったか、とか、これを今やったら環境破壊とかSDGs目線で完全アウトな気もしないでもない。
が、この頃のゴジラとコングはまだやや小さめのサイズで送電線の鉄塔とそこまで背丈が変わらないので人類も人類としてそれなりに抵抗できる。
抵抗はできるが、この巨神と破壊神を生み出したのは誰なのかという根本的な問題と、抵抗しようがお互いが本気を出したら淘汰されるのはどっちなのか問題。
霞ヶ関がとんでもないことになりながら、高島忠夫の気迫の“太鼓”が局面を変える。
霞ヶ関からの“共倒れ大作戦”、クライマックスの盛り上がりはさすが本多猪四郎×円谷英二。
輸送方法も、ついに最後の富士山の麓での頂上決戦も。
ゴジラの“破壊光線”と、キングコングの“電撃”。
一進一退の攻防。ロケーションも、展開も、これはまさに世紀の大決戦に相応わしい見事な壮絶ガチンコバトルだった。
「さぁねぇ。今の僕に言えることは、人間は改めて、動植物の自然に適応する生命力に学ぶべきだ、これだけしか言えないね。」
平田昭彦、お見事。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
TSUTAYA DISCAS運営の映画コミュニティサイト「Discover us」にて同アカウント名でコラムニストをさせて頂くことになりました。
https://community.discas.net/announcements/ib1wyncr43idknqm
別視点で色々映画について書いていこうと思います!ご興味ある方は是非お待ちしております!
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
F:2080
M:2979