滝和也

キングコング対ゴジラの滝和也のレビュー・感想・評価

キングコング対ゴジラ(1962年製作の映画)
3.8
霊峰富士山麓に
展開する世紀の決戦!

コング勝つか!
ゴジラ勝つか!

今、世界へと飛び立たん
とする世紀の対決の
オリジナル作品!

「キングコング対ゴジラ」

東宝30周年記念作として、ハリウッドから三顧の礼を持って迎え入れられたのはアメリカの雄であるキングコング。前作を受け、7年の時を経て復活のゴジラと相対する!

スポンサーであるパシフィック製薬部長の命令で視聴率を上げるため、太平洋ソロモン群島にある未開の地、ファロ島に向かわされるTV局員二人組、そこには巨大なる魔神がいると言う。現地でコングに彼らが出会う時同じくして、異常気象により、北極の氷が溶け出し、氷山から原子の悪魔が再び蘇る!蒼きチェレンコフ光を纏い、原潜を餌食としたゴジラはベーリング海を渡り日本本土へ。そして捕獲されたコングも日本へ。2匹の世紀の怪獣の対決が迫る!

処作超シリアス、次作シリアスながらも緩さあり、そして、三作目コメディかつエンターテイメントへと振り切った今作。圧倒的な人間側のコメディ色、そして原始的な怪獣プロレスがゴジラを主張する作品からエンターテイメントへと転換。誰もが楽しめる、その作風により、ゴジラ作品でも興収トップの作品となりました。

まず取り上げるべきはコメディリリーフである製薬会社部長を演じた有島一郎。凄まじいギャグとコメディ演技の嵐。主演をはる高島忠夫と藤木悠の明るいキャラと相まって世界観を全く変えてしまいます。本来キングコングを連れてきた張本人たちですから、悪役になりかねないのにです(笑) 

キングコング自体が美女に弱かったり、酒飲んで寝ちゃうすっとぼけた馴染みやすいキャラですからね。余りにも暗い話は似合わない。アメリカ代表ですし…。ゴジラとの戦いもお猿さん的なボケが炸裂し、コメディ調とも言えますし(笑) 本家キングコングに乗っ取りエンパイアステートビルならぬ国会議事堂に登ります。

本多猪四郎自体が前二作を受けて、変化を付けたエンターテイメント大作を嗜好しても問題なかったのは、円谷英二がおり、怪獣映画として特撮技術が素晴らしく本分を貫けるからでしょう。

東宝大ブールに設営された氷山から蘇るゴジラの姿。俯瞰で撮影されたカットは珠玉。そして東北本線を襲うゴジラには怖さがあり、迫力もあります。更に埋没作戦、100万ボルト作戦の対自衛隊戦や熱海城を挟んで対峙するゴジラとキングコングの画も素晴らしいものがあります。

コングと言ったらヒロインですが、こちらは浜美枝さんが努めます。ゴジラに襲われ、川に飛び込まされ、コングには攫われる。酷い目にあわされる悲鳴要員。彼女の友達で後に金星人役を務める若林映子も登場。このお二人はこれがきっかけで007のボンドガールに抜擢されますから、酷い目にあったかいもあった訳です(^^)

エンターテイメントに振り切り大ヒットとなった今作は明るいゴジラと言うプロットを切り開いた訳で意味は大きく、後の作品に大きな影響を与えました。また今作では両雄並び立っていた形と相成ります。そして現在、このオリジナルあってこその最新作コング対ゴジラは如何なる結末、展開となるか…正統派対決となるのか、それとも…。楽しみは広がりますね(^^)
滝和也

滝和也