不在

地獄に堕ちた勇者どもの不在のレビュー・感想・評価

地獄に堕ちた勇者ども(1969年製作の映画)
5.0
ヴィスコンティは自身が貴族の出でありながら、マルクス主義者であり、資本主義を否定していた。
この映画ではその思想をナチスの蛮行と重ねて描くことによって、貴族の没落や退廃を見事に表現している。

ある貴族の当主が殺され、遺された家族による後継者争いが始まる。
そこには往々にして様々な陰謀が渦巻く訳だが、1933年のドイツが舞台になっている事もあって、ナチスの内部抗争なども絡み、混迷を極めていく。
映画は民主主義がナチズムによって迫害される所から始まる。
その後に待つのは、暴虐非道、阿鼻叫喚、酒池肉林。
そしてドイツの終焉だ。

ヴィスコンティらしく淫靡でデカダンな描写が多い。
SSの制服に身を包むヘルムート・ベルガーの美しさたるや…。
不在

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