このレビューはネタバレを含みます
『夜間飛行』とキム・ナムギルから飛んできたのだが…うーん。
『夜間飛行』も監督の思いが溢れ過ぎるというか、頭でっかちというような気があったけど、この作品はもうそれが全開。
さすがにもう少し整理してくれないと。
(逆に言えば、監督の作家としての成長の跡が『夜間飛行』には見られるというところか)
主人公2人がすれ違うのは分かるけど、ナムギル別に最悪でもないでしょ？
すれ違いのためにすれ違うような、無理矢理感があちこちにある。
最後も「これから新しいスタートを切ります」と予感させて終わるけど、やっぱり、さすがに、翻意したとはいえ自分を生き埋めにしようとした相手とほほえみ合われてもなあ。
『夜間飛行』で、荒削りながら高校生同士の抱える問題を扱ったように、こっちでも
ナムギルが金持ちの息子じゃなくて、普通の正社員で、なお2人が格差とクローゼットを乗り越えられるかと問うてくれた方が良かったのでは。
総じて、「大金持ちと孤児」「片思いの子の不慮の死」「いっそ金を奪って生き埋め」と、大仰にしたところが弱い。
でもナムギルは最初からナムギルの色気があったんですね。それだけは良かった。
この作品見て全くかすりもしなかった場合はともかく、「今ひとつなんだよなあ」とか思った場合は、やはり『夜間飛行』を見てください！
と言いたいんだけど、あれが日本では普通の方法で見られないのがやっぱり惜しい。
