一人旅

トム・ジョーンズの華麗な冒険の一人旅のレビュー・感想・評価

5.0
第36回アカデミー賞作品賞。
トニー・リチャードソン監督作。

18世紀のイングランドを舞台に、貴族に育てられた私生児:トム・ジョーンズの波乱の半生を描いたコメディ。

18世紀に活動した英国人作家:ヘンリー・フィールディングによる1749年発表の冒険小説「捨て子トム・ジョウンズの物語」を『長距離ランナーの孤独』(62)のトニー・リチャードソン監督が映像化したもので、本作品は1963年のアカデミー賞で作品賞を受賞しています。

18世紀イングランド、産まれてすぐの状態で貴族の屋敷のベッドの上に捨てられているところを発見され、屋敷の主人に“トム・ジョーンズ”と名付けられ自由奔放な青年へと成長した主人公が、女たらしの性格によってある日勘当されてしまい、たった一人で放浪の旅に出ることになったが、なぜか彼は行く先々で女性と関係を結んでしまい―という冒険恋愛喜劇で、彼に会いたい一心でロンドンまで追いかけてきてしまう意中のヒロイン:ソフィとの恋の行方が物語最大の焦点となります。

大して好きでもない女性達と肉体関係を結んだり、いくつもの騒動とトラブルを巻き起こしていく主人公の破天荒な恋愛遍歴&冒険活劇がユーモラスに活写されていて、全編を貫く大らかで陽気な作風が心地のいい娯楽作となっています。

100匹以上の猟犬と数十頭の馬を動員して一頭の小鹿を追いかけ回す狩猟シーンのスペクタクルや、男の名誉を賭けた決闘シーンなど一定の見せ場が盛り込まれていますし、18世紀当時の貴族と庶民の暮らしぶりや長閑な田園風景も印象深く映し出されています。

そして、主演のアルバート・フィニーが破天荒な主人公を屈託なく爽やかに演じ切っていますし、相手役を務めたスザンナ・ヨーク(撮影時24歳)の可憐さが物語に華を添えています。
一人旅

一人旅