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こおろぎのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

こおろぎ(2006年製作の映画)
3.5
隠れキリシタン伝説のある西伊豆の漁村で、盲目の話せない老人(山崎努)を飼う女(鈴木京香)。シュールでファンタジーで、キライじゃなかった。鈴木京香のエロティシズムが匂い立ちます。「砂の女」を観た後だったので、近いんじゃないかと鑑賞しました。似てはいないけど、遠くはなかった。

タイトルのこおろぎは暗闇にいる虫。メスにいずれ(オスの精嚢を)食べられるかもしれないのを知っていながら、全身全霊でメスをおびき寄せる。メスは自分の思い通りになるオスが必要。オスは庇護を求め、メスは庇護を求められる存在でありたい。メスもオスも互いを完全に支配できる、という関係。

山崎努演じる老人がうちのネコにそっくりで、帰宅すると匂いを嗅ぐ😆、つけ回す、ずっとくっついてる。

食事シーンが見ものでした。山崎努の目玉焼きを吸うのは、「家族ゲーム」の伊丹十三を踏襲。白いシャツが毎食汚れます。さらにチキンにむしゃぶりつく鈴木京香。食事シーンがエロい。(こおろぎのメスがオスの精嚢を食べることで交尾になるのと重ねているよう)

後半がハチャメチャで、あの女の子(伊藤歩)は誰だったのか、隠れキリシタンの亡霊だったのか、それもよくわからなかった。 なんで一年後なのかも。
老人に奇跡が起きたのでしょうか。


「砂の女」と近いのは、おびき寄せる、囚われの身になる関係。隔離した世界で、日常の社会生活と切り離された二人だけの時間が流れるというところでした。
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