もりともか

アレックスのもりともかのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
4.3
ようやく観れた。続けて2回鑑賞。
オリジナル版から絶対見ようと決めて挑んだ本作、色々と見所を知った上で見ちゃったので多分衝撃は半減したと思うけど、それでもキツかった!
逆再生は結末を知ってるがゆえの独特な気持ち悪さがいい。
絶望感を抱えながら幸せな頃のシーンを見なければいけないのは、逃げ道が一切なくて目を逸らすことが出来ない。
まさにわたしの大好きなハネケ監督に通ずるテーマ。

暴力、暴行(悪い奴を倒すヒーローも含めて)の作品は世の中にたくさんあるけど、我々(映画の観客)はいかに傍観者であるかというナイフを突きつけられる。
暴力をしっかり見たことはあるか。目の前の暴力を止めることも手出しすることも出来ない。お前は実際に起こっている出来事を真正面から見る勇気があるのか!と。
いわゆる胸糞悪い映画なんだけど、つくづく思う。これが映画で良かった。私明日からちゃんと目を見開いて生きなきゃ!!ってなる。笑

あと、こういう作品を作る監督はわたしはとっても優しい人なんだと思う。ハネケもノエもきっとそう。

「未来のことはもう全部決まってるんだって」というアレックスの言葉。
観ている側の気持ちと反比例するカットは逆再生だからこそ味わえる絶望感。
内容自体は断固否定するけど、作品としてはとても好きです。
映画を娯楽として見ている人にこそおすすめしたい。
ちゃんと目を逸らさずに最後まで見ろ!!と言いたい。
もりともか

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