SQUR

アレックスのSQURのネタバレレビュー・内容・結末

アレックス(2002年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

正規の時間の流れであれば、女性のモノ化といったテーマが浮かび上がる。「結局は女性が決める」と話したアレックスが、男性によって性的な対象物に貶められ、男性によって復讐が遂げられるからだ。
しかし、そういったテーマ性をこの『アレックス』という映画から感じ取るのは難しい。
それは逆順で映画が進行していくからだ。逆順の進行はナラティブを破壊していく。女性のモノ化といったテーマや、悲しみや、復讐、悲劇性などの叙情は、順序の転換によって陳腐化される。
時間は全てを破壊する。それは「個の持つ人間性」だけではなく、「ナラティブとしての人間性」までも。
そこで代わりに浮かび上がるのは、一貫した芸術的センスであり、サイレンの回転からから始まりスプリンクラーの回転で終わる対称性や、トンネルの赤色から自室の赤みへの色の連なり、背景で刻まれていくビートとそれに合わせてトンネルに向かって降りていく足音。
時間を自在に切り取り、ナラティブを破壊することで、芸術性が立ち現れる。しかしそれはあらゆる映画で常になされていることなのだ。
SQUR

SQUR