佐藤克巳

旅役者の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

旅役者(1940年製作の映画)
4.0
成瀬巳喜男監督の「サーカス五人組」の姉妹篇の様な小品だが、きりりとした落語の上手さのある佳作。本年成瀬は、千葉早智子と離婚してスランプだったのかも知れないが、釜足改めて藤原鶏太の馬の前脚役者の悲境を描いて鮮やか。町の床屋中村是好が、馬の頭を枕に高いびきで顔が潰れて提灯屋が急遽修繕したが、藤原は狐顔に変貌した馬で芸の面子が立たないとごねる。その内親方高勢実乗はピンチヒッターに曲馬団の馬で代用、それが客に受けて、藤原は馬の世話役、後脚柳谷寛は人間をやれと降格される。小料理屋の清川虹子等に本芸を披露、酔った勢いで馬小屋を壊すと馬が逃亡、それを追っ掛ける狐面の馬は街道を走り去る。
佐藤克巳

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