映画初心者

オーケストラの少女の映画初心者のレビュー・感想・評価

オーケストラの少女(1937年製作の映画)
4.0
80年前ほどの作品ですが現在見ても十二分に面白い傑作です。手塚治虫のエッセイで紹介されていたため鑑賞。テンポの良い展開かつ80分ほどの比較的短時間、そしてラストの名ショット、とても良い。

職を失った演奏者を父に持つ少女が名指揮者に認めてもらうためにオーケストラを結成する内容。喜劇として描かれ、そのテンポの良いドタバタ劇で魅了、そしてしっかりと緩急が付いていて飽きない。投資家やタクシー運転手や兄等々登場人物の脇役でさえもしっかりと描写され活き活きとしているのも魅力的です。

映像としてやっぱりラストの指揮者がオーケストラの演奏を見るショットが最高。映画「タイタニック」のラストシーンを彷彿とする1階から3階まで演奏者たちで溢れ一斉に演奏、それを見る指揮者。現在の比率と比べて縦に長い(正方形に近い)からこそのダイナミックな構図でした。指揮者の驚きと少女の多幸感も相まって作中のクライマックスでしょう。

最後の大団円も良いですね。指揮者による少女のオーケストラの演奏、そして少女の歌。まさに大団円といえるラストで美しい。この映画、80年前の作品ですが古臭くなく完成されています。

【総評】
これが80年前の作品なのか... 白黒で画質が悪いことを除けば今でも全然通用する出来、素晴らしい。展開は読めてもドタバタ劇として面白く、脇役も魅力的、ラストの美しいショットからの大団円でとても満足できた。

少し惜しいのは最初のオーケストラの演奏シーンだけがちょっと長い...

まさかの本人役でストコフスキーが指揮者役なのも小ネタとして面白い。
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