ボブおじさん

オーケストラの少女のボブおじさんのレビュー・感想・評価

オーケストラの少女(1937年製作の映画)
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1937年に公開された古い古い映画だが、何年かに1度必ず見返している。97歳で亡くなった私の曾祖父が唯一好きな映画だったからだ。

曾祖父は本業とは別にコメットハンター(未知の彗星を探索する天文家)としてもその世界では名の知られた人だった。リアリストで小説や映画というフィクションの世界にはほとんど興味を示さず、学術書、専門書、天体写真に囲まれた生活を送っていた。その曾祖父が生前唯一好んだ映画がこの「オーケストラの少女」だったのだ。

この映画は失業した音楽家を集めてオーケストラを結成しようと、健気な歌姫少女が奔走する音楽映画の不朽の名作だが、曾祖父に何が良かったのか遂に聞く機会はなかった。

映画とはその時代と地域の雰囲気を色濃く反映するものであり、リアルタイムで観た曾祖父と同じ気持ちになることは、もちろん無いが、それでも当時を想像することはできる。世代を超えて同じ映画を観て偲ぶ。将来私の子や孫も同じような経験をするのだろうか?

〈あらすじ〉
トロンボーン奏者ジョンは失業中。またも再就職活動が不首尾に終ったある日、彼は財布を拾う。急に金払いが良くなった彼を見て、周囲の人々や、中でも娘のパシィは、彼が再就職できたものと早合点、大いに喜ぶ。ジョンは本当のことを言い出せない。だが、パシィが父の練習姿を見学しようとオーケストラを訪れたことで真相が発覚し、父は号泣。娘は、父を救うため、失業中の音楽家を集めてオーケストラを結成しようと活動を始める。