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悲しみは空の彼方にのすずすのネタバレレビュー・内容・結末

悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

メロドラマの名匠ダグラス・サークが『模倣の人生』(34年)をリメイクした1959年のユニバーサル映画。個人的な見解としては「リメイク映画の最も成功した大傑作」。

モノクロからカラー映画への進化を受けて、肌の色をテーマにした映画がより一層輝きを増しているのですが、色の使い方だけに留まらず、時代背景の変化を受けての人物描写や展開の微妙な変化、緻密な絵作りは細部にまで目が生きわたり、ハリウッドでも稀に見る精緻なメロドラマになっています。

2002年にトッド・ヘインズ監督が本作並びにダグラス・サーク監督の『風と共に散る』『天は全て許し給う』へのオマージュで『エデンより彼方に』を撮っています。

NHK BS放送で鑑賞 字幕翻訳・森みさ

以下は物語の詳細。

1947年、舞台俳優を夢見るシングルマザーのローラ(ラナ・ターナー)が海水浴場で娘のスージーを見失ってしまいます。スティーブ(ジョン・ギャヴィン)が迷子捜しを手伝うと、スージーはアニー(ファニタ・ムーア)の娘サラ・ジェーンと遊んでいます。アニーもシングルマザーで同じ位の年齢。ローラは白、ジョンソンは黒ですが、ローラは当初、サラ・ジェーンが白であり、アニーの娘ではないと勘違いします。

優しいアニーの心配りに、ローラは自分の家の一部屋を貸し、家事を手伝ってもらうことにします。海水浴場で彼らの写真を撮ったスティーブが訪ねてきて、ローラは惹かれ合います。しかし、仕事は上手くいきません。エージェントのルーミスに体を要求されたり、CFでは犬との競演でくしゃみを連発。そんなローラをアニーが慰してくれます。しかし、喜劇芝居のオーディションで演出家デビッド(ダン・オハーリー)に気に入られ、彼女はブロードウェイに進出。スターへの階段を登りはじめます。

一方、アニーが忘れ物を届けるために、娘サラ・ジェーンの学校に行き、娘が一見白人なのにカラードなアイデンティティに悩み、黒人の出自を隠していることを知ります。

11年後、ローラはNY近郊の豪邸暮らし。アニーは家政婦、兼・親友として同居しています。デビッドの最新作への出演と求婚を断ったローラ、舞台の後のパーティーで、スティーブと再会します。二人の愛は再燃、ハイティーンのスージーとサラ・ジェーンとも再会します。しかし、ローラにイタリア映画の主役が舞い込み、スティーブとの仲が停滞する中、スージーが母親の恋人と知らずに、スティーブに片思いをします。

サラ・ジェーンは白人の店員と付き合いますが、黒人と知られると殴られた末に別れます。そして母親に図書館で働いていると嘘をつき、クラブの踊り子になりますが、アニーがクラブを尋ねたため、出自がバレて解雇されます。遂にサラ・ジェーンは家出をし、アニーは病に伏せがちになります。

ローラが、私立探偵を使い、ロスに仮名で住み、大きなクラブの踊り子として働いているサラ・ジェーンを見つけます。アニーは飛行機に飛び乗り、クラブの楽屋を訪ねます。アニーはサラ・ジェーンに「助けが必要な場合はローラに連絡する」よう言い残し、抱擁します。サラ・ジェーンの同僚が入ってくるとアニーは「自分はかつて乳母だった」と嘘をつきます。
NYに戻ったアニーは寝たきりになります。一方、スティーブと母ローラの結婚を知ったスージーはデンバーの大学へ進学することになります。母娘の議論のあと、アニーは息を引き取ります

カセドラルでの豪華な葬式、ゴスペル・シンガーが歌い(マヘリア・ジャクソン)、鼓笛隊と馬車の霊柩車の葬列に、黒人も白人も帽子を脱ぎ、頭を垂れます。そんな中、泣きはらしたサラ・ジェーンが群衆を押しのけ、母に許しを請います。ローラは、そんなサラ・ジェーンをそっとリムジンに乗せるのでした。

ローラ役        ラナ・ターナー
娘スージー役      サンドラ・ディー
アニー役        ファニタ・ムーア
娘サラ・ジェーン役  スーザン・コーナー
スティーブン・アーチャー役 ジョン・ギャヴィン
ルーミス役       ロバート・アルダ
葬儀のソリスト   マヘリア・ジャクソン
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