ぬまち

悲しみは空の彼方にのぬまちのレビュー・感想・評価

悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)
4.5
まるでNHKの朝の連続テレビ小説を2時間に凝縮したかのような、濃厚すぎるホームドラマ。

母娘の愛憎の物語は、一見するとベタかもしれない。しかしその裏には、人と人の分かり合えなさ、そして人種差別問題に対する鋭い視点が隠れている。主人公の白人女性ローラは、黒人メイドのアニーのことを差別はしないものの、その人生や交友関係の豊かさを知ろうとしなかった。

原題のImitation of life=贋物の人生よろしく、一見して感動的なドラマも実は虚飾に満ちたものだと突き放す。(その虚飾性は美しすぎる撮影や豪華絢爛な美術で装飾される)。一方、ラストの葬式とゴスペルのシーンだけは、なぜか「本物」だと思える感動があった。
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