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続・激突!/カージャックのhoshのレビュー・感想・評価

続・激突!/カージャック(1974年製作の映画)
3.4
逮捕歴から福祉局に子どもを連れていかれた夫婦。子どもを手元に取り戻すべくパトカーをカージャックしシュガーランドへ向かうよう脅す。スピルバーグ劇場長編デビュー作。

ザラついた画面(自然光を活かした撮影が素晴らしい)と逃避行という内容からニューシネマ的なシリアスな話かと思いきや意外にもコメディタッチ。犯罪劇ということもあり道の突破や銃撃などシリアスな見せ場もあるし、そこでのサスペンス演出は見事なのだけど基本的に内容はゆるめ&渋め。やはり後追い世代である私たちが知っているスピルバーグ!っていう感覚は次作の『JAWS』からなんだなと。

しかし、後の作品に繋がる要素も多い。まず、子どもを主軸として暴力を描き、大人になりきれない家庭内不和の大人たちが事の発端となっているのは後の作品と変わらず。

それから多面的な人物描写。最初は主人公夫婦を軽蔑していた警官スライドが共に過ごすうちに同情し心通わせていく過程が丁寧に描かれる。警察部隊の隊長タナーの人情派に見えて非情な部分も細かい。呆けと毒気を混ぜつつ、最終的にはヒューマニズムに着地する監督の作風がみえる。

他にもモブの善意の塊が押し寄せてくる暴力性、全く位置関係が混乱しない中古市場での自警団との銃撃戦、ドライブインシアターでのロマンなどが挙げられる。デビュー作に作風が出るというのは本当なのだなと。内容的にノレたわけではないけど、興味深く楽しくみた。
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