ぽんぽこ

さらば愛しき大地のぽんぽこのレビュー・感想・評価

さらば愛しき大地(1982年製作の映画)
3.5
野生味溢れる色気の根津甚八と、目鼻立ちのパーツは決して派手ではないんだけど配置が良く、どこか寂しげだけど都会的な所が大好きな秋吉久美子。
監督は柳町光男。


いきなり柱に縛り付けられて喚き散らす男の周りに散らかった納豆や割れた茶碗を片付ける場面から始まったところからして異常な人物の様です。
茨城県鹿嶋地方の田園地帯に押し寄せる工場群です。
茨城県、なので納豆です。

先の男性、山沢幸雄(根津甚八)は実家の農家を継がずにダンプカーの運転手をする長男で気短な男です。
弟、昭彦(矢吹二朗)は東京へ出たが親孝行で足の悪い母イネ(日高澄子)を気遣う真面目な男性です。
幸雄の妻、文江(山口美也子)は三人目を身籠りながらも両親と一緒に農作業をする働き者の女性です。

荒くれ者ではありましたが、一家を支えていた幸雄の歯車が狂っていったのは2人の息子が水難事故で死んだのがきっかけでした。
子煩悩だった幸雄は、妻が目を離したからだと言わんばかりに、豪雨の中で妊婦に叩く、蹴ると典型的なダメ男です。

それでも傷心の中ダンプカーを走らせていると、近くの居酒屋、「銀座の雀」の母親の手伝いをしている順子(秋吉久美子)の姿を見て乗せ、聞くと母は男と駆け落ちしたと言います。
順子は元々弟の彼女でした。
ひとりになった順子と話しているうちに、なし崩し的に不倫関係になるのでした。
弟の明彦が帰ってきて幸雄の仕事を手伝うようになり、文江の所へは帰らなくなった幸雄。
お金もないのに二重生活で娘も生まれて順子は文江の子供も同じように可愛がるのでした。
覚醒剤に手を出している幸雄。
同僚の大尽(蟹江敬三)に打ってやると、錯乱状態になり入院する事なります。
生コン会社の部長と喧嘩して拘置所に入れられ、仕事も無くなってイライラする幸雄。
借金をどうするのかを順子に詰問されて逆ギレし、包丁を持ち順子と娘を追い出すのでした。
覚醒剤に完全に依存していて金も無い癖にヤクザから覚醒剤を買っている幸雄は明彦に注意され、怒り狂い何もかも捨てて逃げ出します。
なんでも人のせいにする幸雄。
クスリをやめてよと懇願されてもびくとも心が動かない幸雄は順子の背後に忍び寄り、、、



ラスト、厄介者が居ない山沢家では、娘も息子も一緒に暮らし、豚を追いかけまわす、なんだか平和なシーンで幕を閉じるのでした。
どーしよーもない奴で救いようのない話しなんだけど、ヒヤヒヤして見入ってしまいました。
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