男はくらいよ監督さそり

さらば愛しき大地の男はくらいよ監督さそりのレビュー・感想・評価

さらば愛しき大地(1982年製作の映画)
4.5
追悼・根津甚八。シャブ中でDVの日本映画史上最低最悪の主人公を妥協せずに撮った柳町監督の演出!本当に腕に注射針刺して減量してシャブ中演技に挑んだ根津甚八の鬼気迫る演技は映画史に残る。くたびれ果てた女を演じた秋吉久美子の醸し出す匂い立つエロス。場末スナックで音痴のカラオケ歌うシーンの退廃美は最高!夫が浮気しながらも義理の親の農業手伝い豚に餌をやり続ける山口美也子の逞しさ。蟹江敬三、矢吹次郎等脇役の名演技。まるで『木靴の樹』の様な茨城の農家の底辺ぶりを描いたリアリズム。80年代はまだこんな感じだったし、今でもこんな所はあるのだろう。日本映画屈指の名作。