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処刑軍団ザップのpsychedeliaのレビュー・感想・評価

処刑軍団ザップ(1970年製作の映画)
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不快指数がどうとか, 愛すべきクソ映画とか, カルト的に騒ぐほどの映画では無かった。
素直に白状すれば, 予告編を見た段階では私もかなりの期待をしていたのだ。粒子の粗い画面, 陰鬱さと不穏さを助長するチャチな特殊効果, 不安定であることが却ってリアリティを与えているカメラワーク, こうも役者が揃って来ると, 嫌でも『悪魔のいけにえ』的な, 制作者の意図せざる傑作の予感を抱かずにはいられない。
だが。蓋を開けてみると。題材がインモラルなだけの普通のスプラッター映画だった。
映画としての出来はこのジャンルにしては程よくまとも。ジェス・フランコの訳の分からない女囚物とか, 同時代のセクスプロイテーション映画と比べれば, 『28日後...』と同じくらいの傑作に見える。だから, 映画オタクのように「クソ映画万歳!」と囃し立てる気は, 無理にも起こらない。
といって, 日野日出志の漫画みたいな, 強烈な拒否反応を見る者に抱かせるような代物でもない。その意味ではお騒がせYoutuberにも及ばない。あっちは現実で不快なことをやらかしているのに対して, これは映画だし, 何せ古い作品だからね。「狂犬病患者への配慮が無い!」と怒るには賞味期限が切れている。
悪口ばっかり書いているけど, 映画としての面白さは, 当時のC級ホラーの中では相当に質の高いものだと思う。テンポも良いし。要するに, 私が期待していたものが違ったというだけのハナシ。不快指数を求める人には勧められませんが, 単に70年代のスプラッター映画が観たいって人には好印象を与えてくれるんじゃないでしょうか。
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