初めて観たのは10年以上前。
しかし結末を憶えているので、冒頭から涙腺が緩んでいた。
油断すると涙が溢れてくるので、我慢するのに必死だった。
ここで泣いたら、後が持たん、と自分に言い聞かせた。
ロベルト・ベニーニのコメディアン風の演技が、強制収容所の過酷さと対照的で胸を締めつけられた。
脚本もよくできていて、無駄な要素がない。
すべてがつながっており、完璧な作品に仕上がっている。
強制収容所で再会したドイツ人医師の「重要な話」が、ただ自分を悩ませているなぞなぞの答えを知りたいだけだとわかったときは戦慄が走った。
自分本位で、他者を顧みない人間の浅ましさ。
こういう心のありようがホロコーストにつながったのだと思う。
この映画は美しくまとまり過ぎていて、実際の戦争にこんな話はないだろう。
だからこの映画を「おとぎ話」と批判する人の気持ちもわかる。
けれど僕はこの物騙りが好きだ。