りえぞう

ライフ・イズ・ビューティフルのりえぞうのレビュー・感想・評価

3.8
第二次世界大戦下のイタリアで、ナチスの強制収容所に収監された家族の物語。
1939年、ユダヤ系イタリア人のグイドは、小学校の教師ドーラと結婚。やがて可愛い息子が生まれ、3人は幸せな日々を送っていたが、彼らに突然強制収容所への収監命令が下る。

前半はグイドとドーラのコミカルなラブストーリー。普段の何気ない出来事や会話、ちょっとしたグイドのイタズラ心が全部伏線になっていて、高嶺の花のドーラのハートを掴む魔法のような展開に繋がっていくのが見事でした。
そして後半は明るく仲良しな家族に降りかかる戦争の悲劇。そんな状況でも、グイドは子供の命と心を守るために笑顔で優しい嘘を最期まで突き通します。我が身の行く末が分かっている状況でも、身を隠す息子の前をオモチャの兵隊のように笑顔で行進していく姿は、切ないけれど、父親としての強さを感じる印象的なシーンでした。
グイドは暗い収容所の中でも、息子にとって自分は太陽であり、太陽であり続けることを決めて最期まで実践した人。息子にかけた大きな大きな魔法が現実になるラストに涙でした。

戦争を題材にしているため、コミカルな面が賛否両論あるのかもしれませんが、相手が自分に何をしてくれるかを求めるのではなく、自分が相手にどれだけ与えられるかが、人生の美しさであること、家族の絆、尊さを描いた名作だと思います。
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