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ライフ・イズ・ビューティフルのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

4.0
ロベルト・ベニーニ監督・脚本・主演で、第二次大戦下、強制収容所に送られたユダヤ人の父親が幼い息子を守る姿を描いた寓話的感動作。
カンヌ国際映画祭グランプリ
原題:La vita è bella (英)Life Is Beautiful (1997)

1937年、本屋を夢見てトスカーナ地方の小さな町へやって来た、陽気なユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、美しい小学校教師ドーラ(監督の奥さんのニコレッタ・ブラスキ)に一目惚れ。
結婚し、息子ジョズエ(ジョルジオ・カンタリーニ)も生まれ、幸せな日々を送っていたが、ユダヤ人迫害が強まり、3人は強制収容所に連行される。
グイドは、子どもが生きる希望を失わないように、これはゲームだと偽り、ひたすら陽気に振る舞いながら嘘をつき続ける…。

私も単純にこの作品に感動した一人だが、この映画に対するシモーヌ・ヴェーユ(アウシュヴィッツから生還し、フランスの保健大臣や欧州議会の初代議長、ショア財団の理事長などを務めた政治家。人工妊娠中絶法を成立させるなど女性の自由獲得などのために貢献)のコメントを、ショアやホロコースト、戦争に関する現実認識が乏しい私たち多くの(?)日本人のために、あえて紹介します。
「多くの人々、とりわけ独創的な作家たちは、イマジネーションを口実にして、ショアの記憶にはまったく役立たない空想的な方向へと向かうのだ。例えば、仮にイタリアの監督のロベルト・ベニーニが「ライフ・イズ・ビューティフル」を撮るために財団の支援を求めたとしても、その要請が聞き入れられるはずがない。収容所で父親の側に戻った子どもなど一人もいないし、そういうことは決して起きない。あの映画は奇跡的なばかげたハッピーエンドで幕を閉じるが、それに似たような解放を経験した強制収容所の被収容者など一人もいない。あの映画は現実との最小限の繋がりもないおとぎ話の類いである」(シモーヌ・ヴェーユ回想録Une vie(私の人生)より)
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