kyoko

ライフ・イズ・ビューティフルのkyokoのレビュー・感想・評価

3.9
泣けるイタリア映画と言う事で『ニュー・シネマ・パラダイス』的なものを想像していた私は大甘だった。
流した涙は切ない甘さなんかじゃなく中辛。
人生は美しいの?と言う感じ。観た後重苦しい思い。

イタリアのチャップリンと言われているらしいロベルト・ベニーニ監督、主演。
(あんなに喋るチャップリンがいるはずない!)
妻で“お姫様”のニコレッタ・ブラスキ共演。
(因みに『ダウン・バイ・ロー』でも“ニコレッタ”。
ベニーニは“ロベルト”のくせに「“ボブ”と呼んでくれ」、とアメリカ風。)
ちょっとやりすぎの感のあるベニーニ。でもあんな風にされたらそりゃあ落ちるっつーの。楽勝だっつーの。
そして息子ジョズエ役の子は演技はチョット、ね。でもゴム入りの半ズボン姿(ちょうちんブルマーのよう)があまりにも可愛らしかったのでオッケイ。

ベニーニの演技は終始そんな感じなのだけど私が良かったな、と思ったのは彼の叔父さんと友人。特に叔父さんの家に行った辺りまでの冒頭部分が私は好きだった。まさに「人生は美しい」って感じ。
それに引き換え後半ホロコーストの場面はあまりにも胸が痛く悲しかった。
息子ジョズエに対する父親の顔、嘘をついても真実を見せまいとするベニーニに切ないやら悲しいやら無念の思い。
人生は美しいもの、なんて幻なの?
罪のない人々に課せられたあまりにも苛酷な運命には『アンネの日記』を小学生の時に読んだ時、『シンドラーのリスト』を観た時と同じ涙がこぼれた。
過去にこんな歴史があった事、今でもあちこちで起こっている偏見の争いには震える程の憤りを覚えずにはいられない。
終わった後、体中がだるくしばらく席を立てなかった。今でも胸がつまる。

そして、この年のアカデミーで見事外国語映画賞を獲ったっけ。あんなにエキサイトしてた人はさかのぼること2年前のキューバ・グッディング・Jr以来。
いや、それより凄いな。椅子に上った人なんて知らないもの。
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