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日本の黒い夏 冤罪のtheocatsのレビュー・感想・評価

日本の黒い夏 冤罪(2000年製作の映画)
4.0
冤罪は警察の見込み捜査とメンツ主義のせい

言わずと知れた松本サリン事件の際の冤罪を扱った作品。

高校生の取材チームが当時の事件報道をしたマスコミに逆取材をするという形式で話は進む。

とにかく警察がこうに違いないと犯行ストーリーを決めたら、バカの一念で執拗に容疑者に自白強要をするという体質は昔も今も変わりようがないということがよく分かる。

いわば捏造ストーリーを真実・真理と頑なに信仰している狭量な妄信者に過ぎず、容疑者がいくら本当のこと言っても全部嘘として撥ね付けてしまうわけだ。

その点では異常な教義を狂信し、凶悪な犯行を犯し続けたあの教団の信者たちと「信念の有様・強度」という点では変わりないとも言えるだろう。

他の冤罪映画を見ても皆同じパターン。だから正直冤罪物は見るのが嫌になる。だけど無視もできないので見る際には気を奮い立たせている。笑

本作の視聴感としては映像・演出が一昔前のテレビドラマ的。間の取り方も悠長過ぎて緊迫感はほぼ感じられない。もう少しメリハリのあるスピーディーな演出を施してくれたらとそこが残念な点。

しかし、本作の良かった点は冤罪晴らし過程のみではなく、あの教団が起こした犯罪の一部始終を再現した点と、サリン禍に苦しむ一般市民の姿を多数映像化した点。
その二点が加わったおかげで犯行当時の視覚イメージが容易になり、映画的にもかなりの厚みを醸成することに成功しえたと感じる。

俳優陣も確実且つそつのない演技で魅せてくれました。


総評四つ星

042008
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