Blake1757

あの夏、いちばん静かな海。のBlake1757のレビュー・感想・評価

4.0
キタノ・ブルーの映像、台詞の代わりのように鳴っている久石譲の音楽。ひたすら歩く登場人物達のリズム。これだけで、やはりこの映画は傑作。ただ歩いているだけの映像に、心を揺さぶられる。
いま観ると、現在の北野だったらこんなカット割りしなそうだなという箇所も散見されるのだが(例えばほんの数秒映されるヒロインの涙のショットとか)、とはいえ全体としてはストイックでかつセンチメンタルな素晴らしい作品。

【追記】
Filmarksの本作へのレビューで、たしか小林秀雄の有名な一節「モオツァルトのかなしさは疾走する。涙は追いつけない。涙の裡に玩弄するには美しすぎる。空の青さや海の匂いのように、『万葉』の歌人が、その使用法をよく知っていた『かなし』という言葉の様にかなしい。」を引いて、北野武の「かなし」と「ブルー」を論じていたものがあって、たいへん共鳴したのだが、見つけられなくなってしまった(退会されたのかもしれない)。そのため、ひとまず自分の備忘録的メモとして、ここに記しておく。
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