みてべいびー

あの夏、いちばん静かな海。のみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

なんか一番純な愛を見た感じがした。言葉なくしても繋がる二人。サーフィンに夢中な茂と、彼のあとをいつもひっそりとついていく健気な貴子の構図は、確かに古臭くて昭和初期の男女関係を見てるみたい。でもたけしの恋愛観が滲み出てる気がして、それはそれで好きだなぁと思った。やっぱり作り手の理想や考え方が見え隠れする作品は一際響くよね。サーフボード持ってバス乗れなくて貴子だけ乗ったのに、途中で降りて茂のとこまで走って戻るとことか素敵。
オープニングショットの無音の海(茂のPOV)がすごく印象的で、そのあとずっと音があるときも茂と貴子にはこの音が聞こえないんだなぁって考えながら観てしまった。音のない世界に生きるってどうゆうことなのか自分には想像もつかないけど、この作品を観てる間だけ彼らの感性で波音を聴いた気がする。音楽がラピュタみたいと思ってたら久石譲だった。
前半はただただ静かでゆっくり二人の世界に引き込む感じだけど、後半は色々かわいさ満天だった。貴子が服畳んだら違う人のだったとこ、寺島進が鼻血垂らしながら海見てるとこ、石投げて窓ガラス割っちゃってそそくさと逃げるとこ、友達がウェットスーツ取り合うとこ。所々コントみたいで笑った。
茂の最後も切ない、いい。貴子がサーフボードに写真貼って海に流すのをすごいロングショットで撮る感じも、波と砂に洗われる写真の感じもめちゃめちゃ好きだった。すごくないか、あの図を頭に描いて再現できるたけしって。超ロマンチストじゃん。
ミュージカルのカーテンコールみたいなラスト、私すんごいツボだったんだけど賛否両論あるんだね。集合写真を正面から動画にした感じが粋だし、晩酌交わしながらトロフィー見て喜ぶゴミ収集の先輩も、ボードの上乗ってポーズ決める貴子も最高にお茶目だった。人間らしさとかわいさに溢れてると思うんだけどなぁ、、、だめ?
みてべいびー

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