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『夏の妹』に投稿された感想・評価

odyss

odyssの感想・評価

3.5
【栗田ひろみと沖縄】

むかし、私がまだ若かった頃、栗田ひろみは著名なアイドルだった。
しかし、残念ながら私は彼女のファンではなかった。
それでこの映画も見ずじまいだった。

数十年の時をへて、東京の某名画座で鑑賞した。
栗田ひろみって、結構可愛かったんだな、そう思った。
若い頃はそうは思えなかったのに、私の女の好みも変化したのだろうか。
或いは、年をとると若い娘はたいがい可愛く見えるということだろうか。

この映画は栗田ひろみだけで成り立っているわけではなく、大島渚監督の作品らしく、一筋縄ではいかない筋書きであり、他の登場人物にも一癖あり、おまけに監督夫人の小山明子まで登場しているけど、栗田ひろみなしでは成り立たない映画であることは確かだ。

そしてもう一方の主役は、沖縄である。
戦後長らく米国の管轄下にあり、日本の主権が及ばなかった沖縄。
日本に返還されたばかりの沖縄の様子が、やや観光主義的な捉え方ではあるが、興味深い。

栗田ひろみと沖縄の幸福な出会いが、この映画なのである。
ごちゃ混ぜにすればわからないていう無責任さ。でも、それもそれでいいと思う大人とわからない子供の対話。
まだ異国の島だった沖縄が描かれていて貴重な作品だった。はっきりしない後味も含め意味がある気がした。
ya

yaの感想・評価

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すーたんのりんごのパフスリーブワンピースがめちゃくちゃ可愛い
武満徹の音楽が極上です
夏休み、中学生素直子が腹違いの兄を探して本土復帰直後の沖縄を旅する。少女の自分探しの旅、ほぼ同時期に公開された『旅の重さ』とイメージ重なる。大島組常連の色々な人物登場するが主役は紛れもなく復帰直後の生の沖縄そのもの。今とは比較にならないくらいの異文化の島、そして戦争の傷跡残す暮らしが見える。『旅の〜』主演の高橋洋子同様、たどたどしいヒロイン栗田ひろみが新鮮です。
返還直後の沖縄でオールロケした大島渚、ATGでの最後の仕事。場所が場所だけに非常にコンパクトに作られていて、16ミリで撮られた自主製作映画の味わいがある。表向きは、栗田ひろみと石橋正次という当代人気アイドル共演、という事だったのだろう。当時14歳だったという栗田が大変溌剌と捉えられていて、石橋正次も斜に構えたあんちゃん風でとても良く、いっそこの二人の話(戦後世代の)になっていれば、だいぶ違ったんじゃないかと思う。冒頭の青い海の映像に赤いタイトルが鮮やかである。

脚本の佐々木守は龍宮城モチーフの作品が他にもあるので、恐らくこれは佐々木がメインとして書いたものを田村が加筆などして、現地で大島が直したりした共作なんだと思う。この龍宮城モチーフは、荒木太郎がパージされる前に撮ったピンク映画「日本夜伽話 パコってめでたし」(2017)でも、もう少しファンタジックに描かれている。各地に伝わる浦島伝説は沖縄にもあり、龍宮=ニライカナイ=常世の国という発想に基づいて、ベースラインは作られたのだと思われる。浦島太郎が京都(丹後)の民だったという所も採用されているだろう(これは大島渚が京大出身だったっていうのが大きいんじゃないかと思うが)。
ひとつ捻ってあるとすれば、このおとぎ話の後日譚として、若い二人の女性が探訪するという点だ。

この、さほど年齢の変わらない継母・百子(りりィ。資料では小藤田、となっているが台詞では「後藤田」と聴こえる。後藤田正晴が警察庁長官だったのは1969年から。71年に沖縄の学生が皇居に侵入している)とスータンこと娘・菊地直子(すなおこ)の変換間もない沖縄旅行の道程が物語の骨子である。これは一種のミスリードになっていて、沖縄の青年で自分の兄かもしれない鶴男(石橋)を、直子も、また百子も探しているという仕掛になっている。
これに帝国軍人だった桜田(いかにも豪放な嫌なおっさんを殿山泰司が見事に演じている)と、直子の父で百子の婚約者・菊地(こちらも滲み出るいやらしさが凄い小松方正)が本土側からの来訪者として加わる。前半を殿山が、後半を小松のえぐ味が支えている。沖縄側は警察署長の国吉(佐藤慶)と三線を弾く音楽家・照屋(戸浦六宏)というインテリな二人が非常に意図的なキャストをされている。乙姫様…じゃなかった鶴男の母・ツルに小山明子(掴みどころのない妖艶な女を好演。実際の乙姫は亀の化身説は、亀じゃ駄目でしょう、という事だろう)。桜、菊、という戦争世代と、戦後の「素直」。観客は直子と共に、事の次第を見届ける事になる…のだが。

まずもってパスポート無し行き来できるようになった沖縄を映像として撮っておく、記録としての、風景映画としての側面が本作にはあり、実際の所返還がどうの、戦争犯罪がどうのといった事というのは理屈づけに過ぎないと思われる。更に、丁寧に「アメリカ」の影は拭われている。まぁまだ米国領土みたいなもんだだから色々とあったろうが、今なら「基地の街」という主題もあろうがそこには落ちて行かない。そして主題はいつの間にか60年代学園紛争へと下位置換され、そこで穴兄弟になった菊地と国吉、犯されたツルの話へと転調していく。ツルは哀しむでもない。恨むでもない。ただ鶴男は「自分の子だ」とだけ主張する。その鶴男は百子とやってしまうし、血脈の流れがどんどん混線していく。これを見ているとやはり、大島渚のピンク映画/成人映画への拭い去れない欲求を感じざるを得ない。結果的に彼は「本番」という禁じ手をもってしてロマンポルノを凌駕していくわけだ。

クライマックスに人物が全部揃っちゃうのは大島映画あるあると思うが、沖縄の浜辺でキャラクターがぞろぞろ歩くシーンは佐々木守の意図した「常世の国」への行進(「ウルトラQ・ザ・ムービー」でもやってる)でもあろう。解決したようで何も解決していないエンディング(そもそも兄と妹、である事の問題がここでは棚上げにされている)で、桜田が照屋を海へ突き落す場面で映画はぷつりと終わる。殺されに来た男(贖罪したい側)・桜田と、殺したい男(罰したい側)・照屋は、あっさりと形勢逆転してしまう。無様に落下する戸浦六宏の姿に、こっそりと72年の、そして今も続く何かが描出されている。

戦中・戦後世代にとっては、途中までその犯罪に加担していたという負い目がある。信じていたものが崩れ、体制が変わっても生きている事の負い目。自分が持っていた「純粋」を、彼らは「妹」として描く。素直で純朴で、それでいてどこかエロティシズムを持つ「妹」を、栗田ひろみとりりィという二つの「身体」で映画は描く。
「むかし むかし 浦島は」ハスキーな声で歌うりりィの声は、おとぎ話からはみ出して行く。あけてびっくり玉手箱、放蕩した浦島太郎の「老い」を、大島も佐々木も、どこかに気配として感じていたのだろうか。

冒頭に書いたようにオールロケの殆どハンディカメラみたいな画に加え、編集もさほどキレがある訳でなく、映画としてのルックは非常に弱いが、まぁそれはいつも大島渚、という事かもしれない。彼は撮りたいものが外から与えられたものであり、実際にば凡庸な人なのである。

※栗田ひろみとりりィの70年代ファッションは、今の若い人が見ても興味深いと思う。
belair

belairの感想・評価

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こんなロメールみたいな(それ以上かも)世界観、邦画だったら観てられないだろうなって思ってたけど、全然そんなことなかった笑
むしろ好き

結局この世にいるのは男と女の2種類!
多様性の時代だけど、一周回って清々しくて良いな〜〜

栗田ひろみの口が可愛くて、りりィの目元が綺麗
miku

mikuの感想・評価

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ごちゃ混ぜにするのが好きなのはチャンプルーが好きと同義ね。さっさと本当のこと言えよって感情になるが、ごちゃ混ぜにするのが相当お好きなのね。人間関係がめちゃくちゃ過ぎて理解が追いつかない。日本返還直前の沖縄の雰囲気を楽しむのと、超絶美人のりりィを堪能するのみ。プルタブじゃない缶ビール。手紙での待ち合わせ。今じゃ絶対にコンプラ的にアウトなものの連続なのに妙に清々しいのはなんなんだ。
igoo

igooの感想・評価

3.0
『夏の妹』('72日)観た。ATG大島渚作品。異母妹を本土から沖縄に呼び寄せた兄だが、義妹の父親の婚約者を妹と間違えてしまう話し。なんか不思議な自由さ。小山明子が下ネタ連発するし、ノット倫理観。殺す殺されるのシュールな男たちも出てくる。兄妹は若かりし石橋正次と栗田ひろみである。
ノノ

ノノの感想・評価

4.0
返還されたばかりの混沌とした沖縄と複雑な人間関係
会話が軽快でショットも美しい
yuukite

yuukiteの感想・評価

3.6
むかしTV放送で。沖縄を舞台にしたATG作品。栗田ひろみの瑞々しい演技が良い。共演は石橋正次、りりぃや大島組の面々。監督は大島渚。

むかし12チャンネル土曜夜の<日本映画名作劇場>でATG映画など放送していて60年代後半〜70年代初期の邦画はほとんどその枠で。品田雄吉さん解説。
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