<概説>
私達が普段口にする食肉はどこから、そしていかにして店頭に並ぶのか。畜産工場内部にカメラを向け、その実態を赤裸々に描いた食事ドキュメンタリー。
<感想>
養殖フォアグラが規制されるようになった時、頭では納得する一方で残念に思った記憶があります。
けれどもこうして食肉に加工するまでの過程を見ると、それは仕方ないことだったんだなあと再度納得しました。残念に思ったのも相変わらずなのですけれどね。
ただそれでも私は畜産業を否定しようとは思いません。
口にする命に感謝もしましょう。工場の残酷な実態を嘆きもしましょう。しかしそれを悪だと断じるのはあまりに乱暴な話です。
仮に畜産業が禁止されたなら、私達はどうやって命を繋げるのか。まさか野山に繰り出して野生動物を狩れと。
それを無反省に善と強要できるのは、そこから生じる無益な闘争から目を逸らしているとしか思えません。
ならば肉を喰らわなければいいと。
そこまで来ると、家庭科の勉強をしてくださいとしか言えません。(本来の意味は違いますけれど)人はパンのみに生きるにあらずという言葉がありますが、人はまた野菜のみに生きるにあらずです。
…なにより、食肉規制の次は食草規制に数世紀のうちにつながる気もしますしね。サプリ食まで秒読みです。
本作から受けとるのは「いのちをありがとう」でいいんです。命を食べたなら、命に感謝する。重々しい責任とかではなくて、感謝をきちんとする。安易に規制するのは、結果的に命の責任から逃げているだけではないでしょうか。