原題は「J'accuse(私は告発する)」。トルストイとは関係ない。”フランスのグリフィス”と称されたアベル・ガンス監督が、第一次世界大戦中に制作を始め戦後すぐに公開した反戦映画。全三章の大作。
第一章
フランス・プロバンス地方の村。粗暴な男フランソワは妻エディスが近所の詩人ジャンと浮気しているのではないかと疑っていた。戦争が始まるとフランソワとジャンは同じ隊の所属になり戦友として親密になる。
第二章
4年後、ジャンは病気のため戦場から村に帰る。エディスは子供を連れていた。子供は敵国ドイツとのハーフだった。数日後フランソワが休暇で村に帰り、事情を知って憤慨するが、ジャンと共にドイツへの復讐を誓い二人で前線に戻っていく。
第三章「死者の帰還」
二人は前線で戦い負傷する。ジャンはメンタルがやられてしまう。そして。。。
これまで観てきた中で最も古いフランス映画。グリフィス監督、ラング監督、ドライヤー監督が始動した時代に、フランスでは本作でガンス監督が始動したことを知った。”フランスのグリフィス”と称されたとのことだが、幻想表現や死のイメージのモンタージュは、当時の敵国ドイツのラング監督を連想させる。
戦時中に軍のシネマトグラフ部門に徴兵され、友人の死を間近で触れながら構想し撮影を始めたた本作からは、たびたび挿入される「J'accuse(私は告発する)」の字幕も相まって、監督の強い情念が伝わってきた。中でも第三章「死者の帰還」の特撮シーンは印象的で、撮影に協力した2000人の兵隊の8割が数週間後に戦死したという事実には愕然とするばかりだ。
非常な時代に創り出された唯一無二の映画だと思う。
※ガンス監督はニューヨークで本作の上映会を開き、グリフィス監督やリリアン・ギッシュを招いた。グリフィスは本作に感動しアメリカでの配給を手配した。