マヒロ

或る殺人のマヒロのレビュー・感想・評価

或る殺人(1959年製作の映画)
3.5
検事から弁護士に転職したポール(ジェームズ・スチュアート)は、友人から紹介された女性・ローラ(リー・レミック)からの依頼で、彼女をレイプしたとされる男を殺した罪で起訴されている彼女の夫・マニオン(ベン・ギャザラ)の弁護を頼まれるが、法廷では若手敏腕検事のダンサー(ジョージ・C・スコット)が立ち塞がる……というお話。

やや長尺の160分という時間をかけて、法廷での出来事を丁寧に描いた作品。
争点は「レイプは本当に起きたのか、それとも合意の上での行為だったのか」というところで、このテーマ自体も50年代にしてはかなりセンセーショナルな題材ではないかと思えるが、割とセリフも包み隠さず語られていて驚いた。劇中でも、裁判中に「パンティ」という単語を使わざるを得ない状況になった時、裁判官と弁護士、検事の三人で顔をつき合わせて何か良い言い換えの単語はないか……とか、大の大人が集まって真剣に悩んでる場面が出てきて、言葉に対する向き合い方の違いが見えて面白い。

基本的には真面目に事件を追っていく法廷劇で、軽妙なやりとりもありつつ地味目な作品なので、ちょっと長さが気になってしまった。堅実に物語を捌いていく感じは良いんだけど、結審の場面も何だかフワッとした感じで終わってしまったりするので、もうひとつフックになるような展開が欲しかったかな。

(2021.259)
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