ジェームズ・スチュアート演じる、どこか変人っぽい飄々とした弁護士ポールの魅力を中心に、キャストが織り成す人間ドラマにグイグイと引き込まれる160分。
事件の中心となるのは中尉とその妻のマニオン夫妻。妻を強姦したバー店員を撃ち殺して逮捕された夫の弁護をポールが引き受けるところから物語が始まる。
リー・レミックを知ったのは『オーメン』の母親役だったけど、本作の頃はまだ20代前半。コケティッシュでどこか幼いファニーフェイス…可愛い。
後にカサベテス作品の常連となるベン・ギャザラは、新人ながら既に掴みどころのない独特の存在感を放っている。
後半に登場のキレ者判事役ジョージ・C・スコットも、強面の裏に人間味も見え隠れしてホッとさせる。
仕事への自信を取り戻していく老弁護士パーナム、ドンと構えて安心感のある秘書メイダ。この2人とポールのアンサンブルが大人の友情と信頼関係を見せてくれて心地よく、本作の大事な要素になっている。(『マルタの鷹』や『孤独な場所で』を思い出す。)
殺人事件の裁判、しかも争点が“性的暴行の有無“というセンシティブな内容ながら、重々しくなく軽やかな法廷劇という不思議。
流れるジャズも相まって(デューク・エリントン御本人が登場。ジェームズとの連弾シーンも)全体的にお洒落なタッチ。ソウル・バスのタイトルデザインも効いている。
思い返してみると、こんなにハラハラしない法廷ものも珍しい笑。でも面白かったなあ!
是非。