Maoryu002

或る殺人のMaoryu002のレビュー・感想・評価

或る殺人(1959年製作の映画)
3.8
落ち目の弁護士ポール(ジェームズ・スチュアート)は、マニオン中尉(ベン・ギャザラ)が妻ローラ(リー・レミック)をレイプした男を射殺した事件の弁護を依頼される。ポールは裁判で無罪を勝ち取ろうとするが、切れ者検事ダンサー(ジョージ・C・スコット )が巧みに証拠を集め、互角のやり取りが続いていく。

オットー・プレミンジャー監督による法廷娯楽作品の快作。
「バニー・レークは行方不明」なんかに少し雰囲気が似てる。

リー・レミックの仕草というか、彼女を映すアングルがいちいち艶めかしく色っぽく、さらにデューク・エリントンの音楽がまた色気があって、白黒の映像に映える。

事件の行方よりも、どちらかというと弁護士と検事と判事の掛け合いや、論戦が面白い。
弁護士ジェームズ・スチュアートの落ち着きに、映画デビューしたてのジョージ・C・スコットの鋭さと憎たらしさ!
人を食ったような判事もいい味出してた。

加えて被告役のベン・ギャザラとその妻リー・レミックが、どう見ても善人ではなく、ろくでもないダメ夫婦っぷりも判決の行方を予想させにくくしている。

もう一つ。仕事を干されて釣りに精を出すスチュアートと、アル中の元弁護士アーサー・オコンネルが意欲を取り戻し、絆を深めるところも見どころだ。

ただ、肝心の判決は “ホントにそれでいいの!?” って感じだし、強姦事件が冤罪か否かはっきりしないまま消えていき、下手すると派手な身なりの女性が悪いと言ってるかのような雰囲気に危うさを感じた。あまり過大評価しちゃいけない作品のような。
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