千年女優

或る殺人の千年女優のレビュー・感想・評価

或る殺人(1959年製作の映画)
3.5
ミシガン州アッパー半島に暮らすヤメ検弁護士で、さしたる依頼もなくぼんやり釣りをしながら過ごすポール・ビーグラー。そんな中で親友のパーネルから依頼主ローラ・マニオンを紹介された彼が、彼女を強姦したとされる男を射殺した陸軍中尉マニオンの弁護を任されてスキャンダラスに扱う検察の追及に対峙する様を描いた法廷映画です。

アッパー半島出身の弁護士兼作家ロバート・トラバーが実際の事件をベースに上梓した同名小説をハンガリー帝国出身のユダヤ人監督オットー・プレミンジャーが映画化した1959年の作品で、ジェームズ・ステュアート演じる弁護士の奮闘が評価されて多くの映画賞にノミネート。法専門家からも称賛される法廷映画のクラシックとなりました。

弁護士がヒーローの構図を崩さない古典的物語で、些か盲目的にも感じられる依頼主へのスタンスがサスペンスとしては弱さに繋がっているところはあります。それでも当時タブーとされていた「性」に纏わるワードを披露することが物語における法廷と社会における映画という二重の必然性に至って「真実」追及の価値を上げている一作です。
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