しんご

デモリションマンのしんごのレビュー・感想・評価

デモリションマン(1993年製作の映画)
3.8
シルベスター・スタローンとウィズリー・スナイプスの共演から何かしらB級扱いされることが多い本作だが、意外や意外でかなりの良作。

スタローンは「壊し屋(demolition man)」と称されるロスの敏腕刑事スパルタンとして登場。このスパルタン、宿命の敵サイモンを逮捕したはいいものの人質を死なせた責任からサイモンと一緒に冷凍刑に処される。ところが36年後、仮釈放審査の段階でサイモンが脱走。20世紀最悪の凶悪犯になす術もない未来の警察が対抗策としてスパルタンを解凍して蘇えらせるというお話。

これだけ書くとたしかにかなりB級臭がするが、興味深いのはスパルタンが蘇える未来がかなりのディストピアとして描かれていること。外食産業はピザに1本化。体を触れ合う挨拶は禁止で疫病の元だからとセックスはバーチャルのみ。言語統制が敷かれ暴言には罰金が課される。犯罪が撲滅したため犯罪者への現場対応力を失った警官はマニュアル通りのことしか言えない...と設定がかなり面白い。

そこにサイモンが闖入することでみるみるシステムの粗が浮き彫りになっていく展開はかなり皮肉だし、完全な管理社会の脆弱性を示唆している様にも思える。

そんな中でも映画ならではの面白みもしっかりとある。シュワちゃんが大統領になっていたことにスパルタンが驚愕するシーンは笑えるし、トイレの貝殻は最後まで使用法が不明なまま笑。

バランスの取れたアクション作品。
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