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妻よ薔薇のやうにのmiruのネタバレレビュー・内容・結末

妻よ薔薇のやうに(1935年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

君子と清二のテンポの良い掛け合いが良かったです。
遠くから見ると喜劇、近くで見ると悲劇とまさにこういうことで、くすっと笑えるような掛け合いや場面が沢山あった。
父の息子が三回続けて、大人になれば分かるのよと言われているのは笑ってしまう。

父の優柔不断さはどうしようもないが、お雪と父やその子どもたちの関係性、お雪の思いをきいてしまうと、君子がなにも言えなくなるのもどうしても分かってしまう。
お雪のもとにかえってもいいから、父には誠実でいてほしかったと思うけれど、それができないからこの状況になっているわけで。

また、君子が田舎に行くときに洋装で帽子やヒールでバッチリと決めていたのは、帰ってこない父と妾に立ち向かっていくための武装なんだろうなと思った。単に洋装の方が重ばらないというのもあるだろうが。

清二がいった「どうしても溶け合えないんだね」という台詞がまさにそういうことなんだなと思った。
父も母もどうしても上手くいくことができないんだなと。そのなかで父がお雪という人とであってしまったのだと。

「お母さんの負けよ」と君子がいったのは、最後まで自分の素直な気持ちを伝えられなかったからなのかなと思った。もし、気持ちを伝えられれば、それでも帰ってしまったとしても、負けではなかったのかなと感じた。

お雪や君子が、自分の願望はあるけれど、相手の話をちゃんと聞く姿勢やその上で相手を思う選択をとるその心が、強くて美しいのかなと思った。

面白くてみてても全く飽きず、他の観客もくすくすと笑っているところに映画館でみるという良さも感じました。
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