アノ

妻よ薔薇のやうにのアノのレビュー・感想・評価

妻よ薔薇のやうに(1935年製作の映画)
4.2
夫からの手紙を見てうなだれる伊藤智子の仕草にサイレントの残り香を感じる。

「なぜ父は家を出たのか」という疑問を家族三人でのお出かけの間にじっくりと映すのが非常に辛い。
突拍子もないような話ではなく至って現実的な悦子の振る舞いは、(おそらく)名家の娘であったことからくる気高さが原因なのが物悲しい。

君子もただお雪の情の深さと境遇に感化されるだけでなく、車内での父の何気ない振る舞いで心を揺り戻されるのが非常に良い。
それでも父を縛ることは出来ず、泣き崩れる母を見て「お母さんの負けよ」と呟いてしまう空しさ。
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